愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
どうしてあいつは余計なことばかりするんだ!

おかげで模試にこんなものを持ってくる羽目になってしまったじゃないか!

とにかく今は余計なことに気を取られて注意を欠くわけにはいかない。

このことは一旦忘れて、帰ったら早急に処分することにしよう。



なんとか平常心を取り戻し無事に模試を終えた俺は、電車に乗って帰路に就いた。

太一のお節介のせいで、いつもの模試より倍ほどは疲れた気がする。

電車を降りて駅を出たとき、駅前のスーパーから重そうな荷物を提げて出てくる英梨さんを見かけて声をかけた。

「英梨さん」

「あっ、潤くん。おかえりなさい」

“おかえりなさい”と誰かに言ってもらうのなんて久しぶりだから、なんとなくくすぐったく感じた。

「模試終わったの?」

「うん」

買い物袋の中をチラッと覗くと、米や野菜、牛乳などの重いものばかりが詰まっていた。

< 43 / 82 >

この作品をシェア

pagetop