愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
何か言ってやりたい気持ちはあるけれど、もうこの場所で同じ空気を吸っていたくない。

気分の悪さに耐えかねて俺が手で口元を覆うと、英梨さんは心配そうに俺の顔を覗き込んだ。

「潤くん、あれって潤くんの……」

「うん……でももういいんだ、本音も本性も知れたし」

「大丈夫……?顔色悪いよ」

「ごめん英梨さん、もう帰ろう」

俺と英梨さんがそのまま店を立ち去ろうとしたとき、金髪の男に肩を抱かれて席を立ちこちらに向かって歩いてきた吉野と目が合った。

吉野は俺の姿に気が付くと、大きく目を見開き慌てふためく。

「どうした茉央?早く行こうぜ」

さっきまで話のネタにしていた“御曹司”が俺だと知らない金髪の男は、俺の目の前で吉野を抱き寄せた。

「お似合いだな、吉野」

「あっ……違うの三島くん、これはその……小さい頃から仲のいい友達で……」

吉野は金髪の男の手を振り払って必死で取り繕おうとしている。

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