愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
それからの俺たちは、毎日のようにお互いの体を求め抱きしめ合った。

相変わらず英梨さんは俺を好きだと言って抱きしめてくれたし、俺が体に触れると気持ち良さそうにしてくれたから、それだけで俺は体よりも心が満たされた気がしていた。

いつも始まりはどちらからともなくという感じで、隣に座ったりそばにいたりするとどちらかが相手を抱きしめてキスをして、その流れで最後までする。

太一がくれた避妊具が底をつくと、家から少し遠い場所にあるドラッグストアへわざわざ足を運んで、こっそり調達したりもした。

だからと言ってそこまでしてセックスがしたかったわけでもなく、強いて言うなら英梨さんの愛情を感じられる一番手近で確かな方法がそれだったんだと思う。

こんなに抵抗なく体を重ねられるということは、俺はもしかしてものすごく英梨さんのことが好きなんじゃないだろうかと思ったけど、いつも明確な答は出せないままでその思考を閉じた。

俺にとってただひとつ大切だったのは、愛されていると実感して安心できること。

それだけだった。



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