愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
“他の女に目移りせずに私のことを片時も忘れないでいて”という意味なのか、それとも英梨さんが俺を好きだと思っていることを忘れないでいて欲しいということだろうか?

どちらにせよ英梨さんが俺を好きなことには変わりないはずだ。

「なくても俺は英梨さんのこと考えてるけど?じゃあ俺も英梨さんにつけようかな」

俺も同じようにしようと胸に唇を近付けると、英梨さんは俺の顔を両手でグイッと持ち上げて唇を重ねた。

「私はいいの。これ以上潤くんのこと考えたらおかしくなっちゃう」

「何それ。そんなに俺のことばっかり考えてるの?」

「そう……好きすぎて苦しくなるくらい」

そう言って英梨さんは俺の胸にしがみついた。

「ホント?嬉しいな」

きっと英梨さんはこの先もずっと俺を好きでいてくれる。

そう思うと嬉しくて、もっと俺を愛して欲しいという欲求が湧きあがり、そのためなら何をしても、嘘をついてでも英梨さんのことを繋ぎ止めたいと思う。

俺は英梨さんを抱きしめて、俺がいないとダメになるくらいにもっと好きになってくれと願いながら深くて長いキスをした。

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