愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
土田さんが仕事を終えて帰ったあと、俺は何時間もリビングのソファーに力なく横たわって天井を見上げていた。
「プライベートなことだから本当は話すべきじゃないのだけど、ここだけの話ということで」と前置きをして、土田さんは食事の支度をしながら英梨さんのことを話してくれた。
土田さんの話によると、英梨さんの実家は小さな工務店を営んでいて、英梨さんも短大を卒業後は一緒に働き両親を助けていたそうだ。
しかし数年前に経営が傾いて倒産の危機に陥ったとき、取引先の社長が息子と結婚してくれるなら両親の会社を援助すると英梨さんに言ったらしい。
両親のためにその人と結婚することを決めた英梨さんは、せめて少しの間だけでも自分の好きなことをしたいと言って、まさき家事代行サービスに勤め始めた。
婚約者はとてもいい人で英梨さんを大事にしてくれたようだけど、英梨さんはいつも、「ずっと親の言う通りにしてきたけど、せめて一度くらいは大恋愛もしてみたかったし、結婚相手くらいは自分で決めたかった」と言っていたそうだ。
英梨さんは10月に結婚することになり、「結婚するギリギリまで働いていたい」と言って9月末で退職することを決めたのは、俺と出会うより少し前の7月に入ってすぐだったらしい。
「プライベートなことだから本当は話すべきじゃないのだけど、ここだけの話ということで」と前置きをして、土田さんは食事の支度をしながら英梨さんのことを話してくれた。
土田さんの話によると、英梨さんの実家は小さな工務店を営んでいて、英梨さんも短大を卒業後は一緒に働き両親を助けていたそうだ。
しかし数年前に経営が傾いて倒産の危機に陥ったとき、取引先の社長が息子と結婚してくれるなら両親の会社を援助すると英梨さんに言ったらしい。
両親のためにその人と結婚することを決めた英梨さんは、せめて少しの間だけでも自分の好きなことをしたいと言って、まさき家事代行サービスに勤め始めた。
婚約者はとてもいい人で英梨さんを大事にしてくれたようだけど、英梨さんはいつも、「ずっと親の言う通りにしてきたけど、せめて一度くらいは大恋愛もしてみたかったし、結婚相手くらいは自分で決めたかった」と言っていたそうだ。
英梨さんは10月に結婚することになり、「結婚するギリギリまで働いていたい」と言って9月末で退職することを決めたのは、俺と出会うより少し前の7月に入ってすぐだったらしい。