愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
オムライス
いつしか季節は冬になり、また一年を終えようとしていた。

冬休みに入ると、いつものようにいとこの志岐と玲司が遊びに来た。

父は大晦日まで仕事が詰まって帰りが遅くなる予定で、正月も二日ほどしか休めないそうだ。

家政婦も年末年始は主婦業が忙しいらしく、うちの大掃除をきっちり済ませた土田さんも休暇を取っている。

代理の家政婦を頼まなかったので、洗濯は新しく買い替えたばかりの洗濯乾燥機に頼り、食事は外食やデリバリーばかりになる。

その日の夜もピザか寿司か散々悩んだ末に、ピザのデリバリーを頼んだ。

「美味しいけど……もうデリバリーのピザも飽きたね」

6つ歳下で当時小6の玲司が冷めたピザを皿の上に投げ出して呟いた。

「確かにな。弁当でも買いに行く?」

3つ歳下で当時中3の志岐は成長期だからかかなりの大食いで、ピザでは到底物足りないらしい。

「わがまま言うなよ。だったら何食えば満足するんだ」

「僕、オムライス食べたい」

玲司がすがるような目をして俺を見る。

俺はどうも玲司のこの目に弱い。

「じゃあファミレスでも行くか?」

「でももうこんな時間だよ」

時計を見ると、時刻はすでに9時を過ぎている。

二人に付き合ってゲームに夢中になっていたせいで、夕食の時間がすっかり遅くなってしまったのだ。

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