愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
俺たちはその料理番組が終わるまで、15分ほど黙ったまま画面に見入っていた。

番組が終わると、玲司がまたすがるような目で俺を見つめる。

下手にテレビでオムライスを見せてしまったから、余計に食べたくなってしまったんだろう。

「玲司……その目やめろよ……」

必死で玲司から目をそらすと、今度は志岐が期待に満ちた目をして俺を見ていた。

「オムライスってあんな風に作るんだね。潤くんなら作れるんじゃないの?もう高3だし」

「料理に歳は関係ないと思うぞ?それに作ったことないし、作り方も覚えてないし……」

なんとか逃れようとすると、玲司が手を挙げた。

「作り方と分量なら僕が覚えてる」

そうだった……こいつは母親に似て、無駄に記憶力がいいんだ。

「僕が隣で作り方を言うから、材料があればできる?」

弟同然の歳下のいとこたちに、ここまで食べたいアピールをされたら、年長者としていやだとは言えない。

俺は観念して、しかたなく立ち上がる。

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