愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
入社4年目の春、俺の所属している営業部の二課にも数名の新入社員が配属された。

その中には志岐と木村葉月、そして志織もいた。

顔が良くて背の高い志岐は女子社員からキャーキャー言われていたけど、そんなことにはあまり関心がないようで、誰に対しても素直でフレンドリーなので上司や先輩たちから可愛がられた。

大阪出身の木村は頭の回転が早く、仕事を覚えるのが異様に早かった。

普通に話しているだけでも人を笑わせることに長けた面白いやつで、美人なのに女臭さを感じさせなかったせいか、男友達と同じように接することができた。

そして志織は、おしゃれや恋の話に夢中になっている女子の輪に入ることもなく、イケメンの男性社員にも目をくれず、ひたすら真面目で仕事に一生懸命だった。

ただ少し不器用で要領が悪いのか必死さが空回りすることも多く、小さなミスをして先輩に指摘されると、それをなんとか取り返そうとまた懸命に頑張っていた。

志織のそんな姿を見ているうちに、なんとか力になってやりたいと思うようになり、わかりやすくアドバイスしたり、できるだけさりげなくフォローしたりもした。

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