愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
志織が俺の奥さんになってくれないかな。

もし本当にそうなれば、あんな男よりもずっと大事にするし、一生愛し続けるのに。

告白する勇気もなくてずっと片想いを続けているくせに、そんな妄想ばかりが膨らむ。

ちょうどそんなことを思っていた矢先、同じ会社に入社してから志織と同じ部署にいた玲司が俺と同じ部署に配属された。

志岐と玲司は相変わらず俺を兄のように慕ってくれて、同じバレーボールサークルでも一緒に活動している。

バレーサークルの飲み会で父から結婚を急かされていると話して、一回りほども歳下の女の子から「婚約者に立候補する」などと言われ熱烈なアプローチをされてまいっていた俺は、仕事を終えて志岐と玲司と一緒に食事をしているときに、いとこということもあって気がゆるんだのか、結婚に関する悩みを吐露してしまった。

その後、志織が酒の席で俺と玲司に男心がわからないと相談を持ち掛けて来たり、志岐と木村のこじれた恋の修羅場に遭遇したりした。

そして玲司が突然、志織を俺の偽婚約者に仕立て上げる作戦を持ち掛けた。

俺は志織に対して、こんなことに巻き込むのは申し訳ないからと断りながらも心のどこかでは、もしかしたらこれは最後のチャンスなのではないかと考えていた。

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