ファーストキス泥棒
「私が言いに行ってくるから、ちょっと待ってて!すぐに使えるようにするから」

そう言い、華は体育館へと走る。

体育館に入ると、困った顔で舞台を見つめる一年生たちがいた。そして、舞台の上には練習することもせずにスマホをいじったり、喋ったりする三年生たちがいた。

「すみません!ちょっといいですか?」

華が話しかけても、三年生は華の方を向きもしない。

「すみません!!ちょっといいですか!?」

華が大声で叫ぶように言うと、ようやく三年生たちは華の方を向いた。みんな迷惑そうに華を見ている。

「練習をしないのであれば、一年生に舞台を譲ってください!舞台はみんなのものです!」

そう華が言うと、ガラが悪いことで有名な数名の男子が立ち上がった。

「ああ!?ここは俺たちが先に取ったんだ!どう使おうと俺らの勝手だろうが!!」

「一年生が練習できなくて困っています!」

「そんなもん知るかよ!教室かどっかでやっとけよ!」

「練習をしないのであれば、舞台から降りてください!」

そんな会話が何度も続く。
< 10 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop