ファーストキス泥棒

「じゃあさ、友達を待って一緒に行くってのはどう？」

「ごめんなさい。い…行けません…」

そんなやり取りが何度も繰り返される。埒のあかない展開に嫌気がさしたのか、男の一人が女性の腕を掴んだ。

「とにかく！行くだけ！何もしないからさ！！」

女性は助けを求めるように、近くにいた腕っ節の強そうな男性陣を見つめる。しかし、その男性陣は申し訳なさそうに目をそらした。

この役立たずが……！！

華は心の中で舌打ちをし、無理矢理女性を連れて行こうとする男の腕を掴んだ。

「嫌だって言ってるでしょ？手を放せ！」

男二人は一瞬驚いたような顔を見せたがすぐに下卑た笑みを浮かべ、華の肩を掴んだ。

「じゃあさ、君が俺らと遊んでよ。俺的に君ってめちゃくちゃタイプーーー」

男が言い終わる前に、華は自分の肩を掴んでいる男の腕を素早く振りほどき、相手が驚いている隙に投げ倒した。

華の特技は合気道だ。相手の力を利用して、相手を倒す。

「汚い手で触るな…」

相手を見下した目で華は睨みつける。