ファーストキス泥棒
投げ倒された男は悲鳴を上げながら逃げて行った。しかし、残った男は女子に負けたことがよほど屈辱的だったらしい。
「このくそ女がぁぁぁ!!」
怒り狂った男が持っていたかばんから小型のナイフを取り出し、闘牛のように一直線に華に向かって来た。
華の顔が強張る。道場での稽古を積んできたとはいえ、武器を持った人間と戦うのは初めてだ。体や心に緊張が伝わった。
華の足が止まった刹那、華の背後から何者かが飛び出し、男のナイフを蹴り上げ、一瞬で男を取り押さえた。
「誰か早く警備員呼んで来なよ」
そう言って取り押さえた人物が華の方を振り向く。その人物に、華は見覚えがあった。それは……学校一のスキャンダル男・川井大和だった。
川井大和とは、高校で初めて会ったが、今ではその名前を知らない者はいないほど入学してすぐに大和の話は広まった。
高校の入学式の時点でかなり大和は目立っていた。みんなが黒髪の中でとても目立つ明るい茶髪。耳には大きめのピアスをつけ、制服はだらしなく着こなしている。
「このくそ女がぁぁぁ!!」
怒り狂った男が持っていたかばんから小型のナイフを取り出し、闘牛のように一直線に華に向かって来た。
華の顔が強張る。道場での稽古を積んできたとはいえ、武器を持った人間と戦うのは初めてだ。体や心に緊張が伝わった。
華の足が止まった刹那、華の背後から何者かが飛び出し、男のナイフを蹴り上げ、一瞬で男を取り押さえた。
「誰か早く警備員呼んで来なよ」
そう言って取り押さえた人物が華の方を振り向く。その人物に、華は見覚えがあった。それは……学校一のスキャンダル男・川井大和だった。
川井大和とは、高校で初めて会ったが、今ではその名前を知らない者はいないほど入学してすぐに大和の話は広まった。
高校の入学式の時点でかなり大和は目立っていた。みんなが黒髪の中でとても目立つ明るい茶髪。耳には大きめのピアスをつけ、制服はだらしなく着こなしている。