ファーストキス泥棒
「怪我はしてないか?大丈夫?」

心配そうに大和は華を見つめる。華は大和を思い切り睨みつけた。

「助けてくれたことに関しては、どうもありがとう。おかげで怪我はないわ。でも、これ以上くっつかないで!鬱陶しい!」

華がそう言うと、大和の顔から心配げな表情が消えた。現れたのは悔しげな表情だった。

「はあ…あんたぐらいだ。俺に壁ドンされても顔色一つ変えない女子って。ほんと腹立つ」

その態度に華は思わず手を振り上げ、大和を叩こうとした。しかし無情にも、その手は大和に掴まれる。華は振り解こうとするが、全く効かない。

「ほんと、ムカつく」

そう言い放ち、大和が華に顔を近づける。その刹那、華の唇に柔らかい感触がした。

「んん…!?」

両手を掴まれ、華の体はいとも簡単に壁に押し付けられる。何度も大和が熱いキスをする。

「あんたを絶対に落としてみせる」

華を解放した後、大和は甘い宣戦布告をささやいた。

初めてのキスに、華は顔を真っ赤にしながら空っぽになっている肺に酸素を送るので精一杯だった。
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