恋のキューピード
『どっかで見たことあるって思う事が起こったら。
それは、莉緒さんしか見えない世界が始まり』
キューピッドの言葉を思い出して
波城君と恋愛、あり得ない。
あり得ないがついてくる波城君を追い払うのも邪魔くさい。
波城君をチラッと見て鼻で笑ったら
「青井さん、何か、有ったんですか?
いやでなければ教えて下さい。
ダメですよね」
ゆっくりした口調が莉緒の鼓膜に響いた。
「・・・」
返事をする訳でもないが莉緒は、何食わぬ顔で
カッカッっとヒールの音をさせて歩いていた。