【短編】小悪魔な年下に翻弄されてます…
「ううん。違う。」
慌てて否定した私。
するとユキくんも
続いて発言する。
「僕がモモ先輩に
抱きついてただけです。」
「そうそう。ユキくん
甘えん坊だから。」
すると、何かを察したような
表情をしたメグ。
ユキくんの方を向くと、
案ずるかのように大きく頷いた。
「ふっ。ユキくん。
……どんまい!」
なに???
どういう意味?
戸惑っている私をよそに
ユキくんも
情けないような笑顔を浮かべ、
暗に肯定している様子。
なによ?
メグもユキくんも!
二人して頷きあっている。
そのうち、またメグが
徐ろに口を開いた。
「ちゃんと言わないと…
この人遠くに行っちゃうよ。
就職先県外だし。」
「……え?」
…メグの言葉に固まるユキくん。
それを尻目にメグは、
なぜか来たばかりなのに
置いたカバンをまた持ち始めた。
「じゃ。私、今日は退散するわ。
ちょっと用事がある気がするから。」
はい!?
…ちょっと何よ、その
訳わからない理由。
「ちょ、ちょっと!!」
…止める間もなく
彼女はそのまま颯爽と
部室を出ていった。