君の心に響け



7周目に突入したところで晴は



目眩がしていた。



自分の限界も知らず、ただ気持ちだけで



走っていた。



7週目の時、横目でちらりと部員を見ると



すでに8周を走りきった部員がいて



気付けば晴が1番遅かった。




先輩からは、早く走れと怒鳴られ、




麻由香からは、また睨まれたように



感じながらも走っていたのだ。



晴は焦りながらも必死に




7周と半分、目眩でクラクラになりながら




走っていると後ろに何か気配を感じた。




後ろを振り返ると、皆が口を揃えて




イケメンでサッカーも



できると言っていた成瀬 俊がなぜか




私と同じペースで走っていた。




成瀬くん1番速いスピードで走っていたのに




私と一緒でスピード配分を間違えたのかな




と晴は勝手に思っていた。




すると晴を少しだけ追い越すと




成瀬 俊は突然晴の視界から




消え、何やら膝まづいた。




突然の出来事に、晴はとっさに立ち止まり




だっ大丈夫ですか?と戸惑いながら




声をかけた。



成瀬 俊は




「いやっあのっ、、、、、、、


足をくじいちゃったみたいで。」




と言うと、右足を痛そうにかかえていた。



そこから、晴はとりあえず尋常じゃない



汗をかき、息切れをしながら




「まず、安静にしないと。大丈夫ですか?


痛いですか?」




と、あたふたしながらも心配で晴まで



どこか痛そうな表情をしていた。



その表情を見て、心配させては悪いと



思ったのかすっと成瀬 俊は、立ち上がり





「大丈夫です。走れそうにはないけど


ゆっくりなら歩けそうです。」





と少し笑った。



少し笑った顔を見て




「かっこいい。」




とぼそっと呟いていた。




成瀬 俊は、ん?なんて言った?



というような表情をしていた。



晴はなんで今こんなこと言っちゃったんだろう



と自分に驚きながら



なんでもないっ!と言った。



数秒後には心の中で冷静に、



成瀬 俊くんは笑わないクールな人だって



言われてモテてるけど



笑ったらもっと



モテちゃうだろうな、となぜか




心が勝手に考えていた。




その後、ゆっくり成瀬 俊のペースに合わせ




校庭の外周を歩いていた。



俊は、申し訳なさそうに謝りながらも



「私もメニューきつくて足くじいてたかも


しれないから気にしなくて大丈夫だよ。」とか



保健室に後で行くんだよと言っても



大丈夫と言っていたので



絶対に保健室に行かなきゃだめ!と



伝えると笑いながらわかったと



最強の笑顔で返してきた。



そのまま何気ない会話をしていると




晴はあっという間に8周が終わっていた。




先輩が門の前で待ってて




「遅い!」





と一言言われた。



その時初めて



晴は成瀬 俊がくじいた時から



速く走ってメニューをやりこなさないと



いけないことや、



自分が目眩で倒れそうに



なっていたことを忘れていた。




晴は頭を下げ、すいませんと言おうとした時に



成瀬 俊はその先輩に





「すみません、僕が足をくじいてしまった時に


近くにいてつい巻き込んでしまいました。


すいません。」






と頭を下げ、謝ってくれた。




先輩はその一瞬で成瀬 俊のファンに




なったのか目がトロンとしていて




俊に釘付けになっていた。




すると成瀬 俊は再び




先輩にすいませんと言い、




晴にもありがとうと言ってきたので




晴は、保健室に絶対に行くように



念押しすると、瞬はうんと



頷き、その場を去った。
< 12 / 14 >

この作品をシェア

pagetop