君の心に響け
ようやく朝練が終わり、晴と愛華は
くたくたになりながら教室に入った。
「やばい、疲れた。」
と言っているのは、晴と愛華だけではなく
3強に入っている全員であっただろう。
「晴、大丈夫だったか?」
流星は、遅刻ギリギリだっため
教室に走りこみながら聞いてきた。
晴は途中アクシデントがあり、そこから
走っていないからなんとか大丈夫だったなぁ
と思いながらも流星に大丈夫だという
ことを伝えた。
流星は野球部もサッカー部も
朝練を遅刻ギリギリまでやっていたから
絶対誰か遅刻してるぞ、初日から厳しすぎるだろと
愚痴をこぼしながらも
朝礼が始まり、そして授業が始まった。
早速疲れから授業にも集中出来ず
もっとも苦手な物理の授業のスピードに
ついて行けなくなった晴は
なんとなく外を見ていた。
「あっ成瀬くんだ。」
なぜだか一目みてわかった。
あっさっきより笑っている。
クールで笑わないって皆言ってたけど
全然最強の笑顔で笑うじゃん、と
それから目の先は、ずっと晴は俊を見ていた。
俊達のクラスは体育の時間で野球を
やっていて俊が、
バッターボックスに立った。
成瀬くんの事だから野球も
出来ちゃうのかな?と
思った矢先に1発目から
ヒットを打った。思わず晴は
心の中で
「あっ打った。ヒットだ。走るのはやい。
サードまでいけ。おっセーフ。」
野球のルールは流星のおかげで
知っていたので、俊がナイスヒットを
したのがよくわかっていた。
サッカーもできてやっぱり野球もできるのかと
晴は感心するしかなかった。
でもなんかさっきの光景おかしかったぞ
と気づいたのは次の国語の時間だった。
足くじいてたのに
めっちゃ走ってたことに気づいたのだ。
それから、国語の時間も
その次の音楽の時間もなぜあんなに
速く走れていたのだろう
ということだけが頭の中に巡っていた。
足がくじいたのが治ったということが
1番可能性が高いとも思ったが、
あんなに痛がっていたのに数時間で
治るものなのかなぁと
モヤモヤした時間が過ぎ、晴は
休み時間に1人で
保健室へとと向かっていた。
「あっあのぉ。」
晴は保健室の扉をあけていた。
保健室の先生はもちろん
「どうしましたか?」
と聞いてきた。そこで晴は
「成瀬 俊くんここに来ましたか?」
と聞いた後に自分が変な事を
聞いているのを自覚した。
保健室の先生は
「もしかしてあなたもファンなの?
昨日入学式があったばっかりなのに俊くんの
ファンは多いわね。」
と笑いながら言ったので晴は食い気味で
「違います!」
と言った。先生は少しニヤニヤしながら
来ていないよ、と答えた。
晴は、その答えを聞いても
俊がくじいた事が嘘だったとは
思えなかった。
なのですぐに治ったのだろう、と
晴は思うしかなかった。
しかし、次の時間も次の時間も
晴は俊の事を考えていた。
するとあっという間に授業が終わっていた。