君の心に響け
授業が終わり、野球部とサッカー部は
走って部活に向かっていた。
野球部やサッカー部の先輩は
1年生が部室に来るのが遅かったことを
入学式早々怒ったらしい。
その噂は3強に所属している
吹奏楽部の1年生の中でも
すぐに噂になり
晴と愛華もびびって、授業が終わったらすぐに
部室に向かった。
階段を降り曲がり角を曲がると
そこで部室に向かって
走っている俊と偶然会い、
お互い目があった。
俊は友達に先に行っててと
伝えると晴の所に向かってきた。
なぜだか晴も愛華に、ごめん先に行っててと
言っていた。俊は
「大丈夫?」
と一言声をかけてきた。
晴は、えっ?と疑問形になった。
なぜなら、晴が大丈夫?と言おうとしたのに
俊が聞いてきたからだ。
晴は、返事を返せなかった。
俊は何も返せない晴に対して
「自分のペースを守ったら明日は走れるよ
だってほぼ走れてたから。」
と言った。
晴は戸惑いながらも一用頷き、俊に
「足は大丈夫なの?」
と聞いた。
俊はえっ?という顔をしていた。
その後、何かを思い出したかのように
「あっ!うん!もうこの通り!」
と慌てて、顔を少し赤くして言った後、
「あっ足は大丈夫だよ、あっ朝は
本当にありがとね。
助かったよ。じゃっじゃあね。」
と、とても焦った様子で
サッカー部へと向かった。
晴はその場で立ちながら、手で顔を覆い隠した。
「これが、これが成瀬くんの優しさなんだ。
色んな優しさがあるけど
これが俊くんの優しさなんだ。
成瀬くんは、足をくじいてなんかいなくて
私ががフラフラになりながら走っているのを
気にして、自分が足をくじいたふりを
して、一緒に歩いてくれたんだ。」
晴は自分の心臓の鼓動が早くなるのを
感じた。