君の心に響け
入学式が終わり、
晴と愛華はトランペットとフルートを持ち
吹奏楽部の部室へと向かった。
そこには、ずらっと1年生が並んでいた。
「希望する楽器の所に行ってください。」
先輩らしき人からそれだけを真顔で言われ
その先輩は去っていった。
晴は
「やっぱ、先輩怖そうだね。」
と怯えると愛華も同調し2人一緒に
怯えていた。
2人はパートの先輩達を探すため
頑張ろうねとお互い声をかけ合い
その場を離れた。
晴はトランペットがパート練習しているのを
見つけた。
晴は遠くから少し音を聞いただけで
一瞬ですごい上手だ、と感じた。
自分がここでやっていけるのだろうかと
心臓がドキドキするのがわかった。
トランペットの先輩は
3年生の先輩が2人
2年生の先輩が3人いた。
どの先輩も笑顔1つ見せずに黙々と練習を
していたので、増々怖そうに見えた。
晴はいつ挨拶すれば良いのかわからず
戸惑っていると、横から
「トランペット希望の森 麻由香(もり まゆか)
です!お願いします。」
と、ハキハキした声で挨拶した女の子がいた。
晴は、隣の女の子が
あまりにも堂々と大きな声で
挨拶したので驚き、そして焦りながらも
それに続いて挨拶した。
3年生の先輩は表情1つ変えずに
キリッとした表情で
「スカートなど身だしなみを整えてから
来てください。」
と明らかに、晴を見ながら言った。
隣にいる麻由香という女の子にも
ジロジロみられ、睨まれたようにも感じた。
晴はすっすいません、と慌てながら
朝になぜスカートを短くしてしまったの
だろうかと反省しながら、思いっきり
スカートをのばした。
それから3年生の先輩がまたまた
表情を1つ変えずに
「私はトランペットのパートリーダーを
してます。鈴木 真子(すずき まこ)です。
この3強と呼ばれる3つの部活では
1ヶ月間仮入部という形で
練習に参加してもらいます。
また、私達は全国大会金賞を目標に
しているのでその厳しい練習を覚悟
した上で仮入部してください。」
落ち着いた声でいかにもしっかり
してそうな先輩を見て
2人はできるだけ大きな返事をすると仮入部届け
の紙をもらった。