というわけで、結婚してください!

 というか、立派な弟だと思っているからこそ、余計に腹が立つのだろう。

 そこで、外の景色に気づいた鈴は、ハッとして言う。

「そうだ!
 このバス、確か循環バスですよ!

 街中をぐるぐる回ってるんですっ。

 早く降りないと、教会に戻ってしまうではないですかっ」
と思わず、立ち上がり、

「……お前、逃げる気満々じゃないか。
 征の何処が気に入らない?」
と言われてしまった。

 私の中の征さんの評価より、この人の中の征さんの評価の方が高いようですよ……。

 そう思う鈴に、今走っている場所を確かめるように外を見ていた尊が言う。

「わかった。
 次のバス停で降りよう」

 振り向いた尊は、征とそっくりな顔で鈴に言ってきた。
< 11 / 477 >

この作品をシェア

pagetop