というわけで、結婚してください!
 怒涛のうちに決まってしまった結婚も、自分の未来も。

 子どもの頃思い描いてたものとは、まったく違うものになりそうな予感がしていたから。

 でも、人生って、そういうものなんだろうと諦めていた。

 だけど、そのとき、尊さんがやってきて、私に向かい、手を差し出した。

 あのとき――

 なんでだろうな。

 初めて会ったのに。

 ようやく迎えに来てくれた、と思ったような気がする。

 たぶん。

 ずっと思い描いていた、ちゃんと好き合って結婚して、お互いを思い合って生きていける相手が、ようやく迎えに来てくれた気がしたんだ。

 ほぼ同じ顔なのに。

 どうして、尊さんだと、そんな風に思ってしまうのかはわからないのだが――。
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