というわけで、結婚してください!
「私、あのとき、自分から尊さんの手を取ってしまったのかもしれません」

 鈴はそんな告白をする。

「もしかしたら、私は――」

 そう言いかけた言葉をふさぐように、征が笑顔で言ってきた。

「鈴、ちょうどいい座敷牢が地下にある」

 ちょうどいい地下牢ってなんだ……?

「少し、そこに入ってろ。
 ちょっと頭も冷えるだろう」

 身も心も冷えそうなんですが……と思う鈴の手を取り、征は言ってくる。

「やり直そう、鈴。
 今度は、俺もちゃんと自分の気持ちをお前に伝えるから――」

 いや、座敷牢でですか?
と思いながら、固まる鈴に向かい、征は語り出す。
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