というわけで、結婚してください!
「お前ら……、鈴は何処だ」

 数志が振り返り、言う。

「は? 鈴様?
 知るわけないじゃないですか。

 一緒には呑んでませんよー」

「見ればわかるっ。
 どつこうかっ」
と尊は数志の胸ぐらをつかんで、引き起こした。

「えーっ。
 じゃあ、今度は、征様が連れて逃げたんじゃないですかー?

 これでおあいこですねー」
と数志は笑い出す。

「……おあいこで……

 すむかーっ!」
と尊は二人を怒鳴りつけた。

 いや、屋敷の中だし、と思って、征を信用して、目を離した自分が悪かったのだが。

 二人のあまりの呑気さに腹が立ったのだ。
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