というわけで、結婚してください!
「心当たりを探せっ、窪田っ、数志っ!」

 あー、はいはい、と二人は適当な返事をしながら立ち上がる。

 窪田が、
「そんな慌てなくても、征様がたいしたことできるわけないじゃないですか。
 尊様と似たりよったりなのに」
と肩をすくめて言ってきた。

 だが、数志は、
「いや、わからないですよ」
と言い出す。

「鈴様、あきらかに尊様の方に気がありますもんね。
 追い詰められたら、ネズミでもなにをするかわかりませんよ」

 ……数志。

 お前、俺はともかく、直接の主人の征をネズミとか……。

 獅子身中の虫って、こいつらのことかな、と思いながら、緊迫感のない二人を置いて、尊は離れを出た。




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