というわけで、結婚してください!
 こっちに戻ることを決めたとき、なんとなく、あのコルセットを着てみたのだが。

 泉美がドレスを着せてくれるとき、
「あら、ちょうどいいじゃないの」
と言って、コルセットを締め上げたのだ。

 ありがとう、コルセット。
 無事に帰れたら、神棚に祀ろう、と思ったとき、征が頬に触れてきた。

「そうだ。
 それより前に済ますべきことがあったな。

 ……誓いのキスがまだだった」

 ひっ、と鈴は息を呑む。

「あれをしないと、式が終わってない気がするよな」
と言う征に、

 いやあのー、誓いの言葉も終わってませんけど、と鈴は思う。

 結構早くに尊さん、いらっしゃいましたしね、と思っている間にも、征の美しい顔が目の前に来ていた。

 コルセットーッ!
と助けを求めて叫んでみたが、さすがに、これはコルセットでも防げない。

 さっきまで感謝していたのに、思わず、心の中の神棚から、コルセットを叩き落としてしまった。
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