というわけで、結婚してください!
 まっ、まだ尊さんともキスしてないのにっ。

 いっ、

「嫌ですーっ」
と叫んだ鈴は、少し後ろに下がり、吊るされているのをいいことに、前方に向かって、身体を振るようにして、全体重をかけた。

 征の胸に勢いよく頭突きをくらわす。

 ぐっ、と低い声を上げ、征が後ろに倒れた。

 鉄格子で頭を打ったようで、征は意識を失ってしまう。

「せ、……征さん?

 ……お亡くなりになってはいませんよね?」

 二時間サスペンスなら、100%死ぬところだが、と思いながら、鈴は意識のない征に話しかける。

 返事はないが、胸の位置が上下しているので、生きてはいるようだった。
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