というわけで、結婚してください!
 後ろから来た数志が、なに阿呆なことやってんです、という顔をしたので、てっきり、尊にも罵られるだろうと思っていた。

 だが、走って駆けつけてくれたらしい尊は息を切らして、鉄格子をつかむと、
「よかった、鈴……。
 大丈夫か?」
と言ってくれた。

「み……

 尊さんっ。

 尊さんっ、ありがとうございますっ。

 大好きですっ!」

 思わず、ほとばしる思いを口にしてしまったのだが、尊は露骨に嫌そうな顔をする。

 ご、ご迷惑でしたでしょうか?
と鈴が言ってしまったことを後悔したとき、尊が鉄格子をつかんだまま、うなだれた。

「俺が言おうと思ってたのに、先をこされた……」

「ええっ!?

 すっ、すみませんっ。
 あっ、じゃあ、好きじゃないですっ!」

「いや……、そこは訂正しなくていい」
と言った尊の後ろで、数志が、ははは、と笑って言ってくる。
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