というわけで、結婚してください!
「ところで、鍵がないんですけど」

「ないのかっ」
「ないんですかっ」

 思わず、尊と二人で叫んでしまい、
「いや、鈴様には言いましたよねえっ?
 鍵持ってないって!」
と数志に逆ギレされる。

 ……はあ、すみません。

 数志は、まだ意識を失っている征を指差し、

「鈴様。
 征様が鍵を持ってるんじゃないですか?

 ポケットとか探ってみてください」
と言ってきた。

 そうっと腰を屈めて征を窺いながら、鈴は言う。

「……触ったら、起きてきたりしないですかね?
 っていうか、これ、死んじゃわないですかね?」

「まあ、死んでも正当防衛ですから、大丈夫ですよ」
と征の直属の部下のくせに、数志は薄情なことを言ってくる。
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