というわけで、結婚してください!
 だが、その直後、ひーっ! と数志が悲鳴を上げた。

 ガッと鉄格子の隙間から伸びた手が数志の足首をつかんだからだ。

「数志ーっ!」

「ひーっ。
 鈴様っ、助けてーっ」

 意識を取り戻した征にいきなり足をつかまれた数志は、何故か鈴に助けを求めた。

 征は数志から手を離すと、鈴の手をつかみ、自分の膝の上に鈴を引き倒す。

 鈴の首に後ろから腕を回した征は、声を張り上げた。

「動くなっ。
 動くと、鈴の命は……っ!」

 だが、そこで、鈴と目を合わせてしまった征は言いかえる。

「俺の命はないっ!」

 ええっ? と三人は征を見た。
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