というわけで、結婚してください!
「鈴を殺すとか俺にはできんっ。
 だから、俺が死んでやるっ。

 俺が今、此処で死んだら、疑われるのはお前らだっ!」

 だが、そんな征の主張を聞いた数志が淡々と言ってきた。

「死んだとバレないよう、死体を何処かに埋めたらいいんじゃないですかね?

『私、あの晩、車でお迎えにうかがったんですが、ひとりで呑んで帰るからいいとおっしゃられて。

 いつも大金を持ち歩いてるの、知られてましたからね。
 危ないと申し上げたんですが……』

 ――って音声変えて、証言しますよ」

 いや、音声はテレビ局が変えてくれると思うんだが……。

 っていうか、どんなときでも冷静とは言いがたいのに。
 こんなときだけ、やけに頭が回る貴方が怖いんですが……と鈴は思っていた。
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