というわけで、結婚してください!
「そんなことより、さっさと鈴を離せっ。
 鍵は何処だっ!」
といつまでも鈴を膝に抱えている征に、イラついてか、尊が言うと、

「ない」
と征は言った。

「……ない?」
と尊が訊き返す。

「ない。
 投げ捨てた」

「なんでだっ」

「此処を開けたあとで、投げ捨てた。
 そしたら、永遠に、此処で二人きりじゃないか」

「すみません。
 なにを言ってるんですか? この人は」
と鈴の方を見て、数志が言ってきた。

 いや、すみません。

 ちょっと私にも理解できないんですが……。
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