というわけで、結婚してください!
「とことんまでって、鈴は死ぬとこだったんだぞっ」
と言ったあとで、尊は、あ、違った、という顔をする。

「征が死ぬとこだったんだぞ?」
と疑問系で言いながら、釈然としない顔になり、

「……別にいいか」
と呟いていた。

 いやまあ、本気で別にいいとは思ってはいないだろうが。

「私はお前の母親とちゃんと向き合わずに居て、こんなことになったから。
 お前たちは、ちゃんとするべきだと思ったんだ」
と正明が言っている間に、頭上で揉めている二人の声がまた近づいてきた。

 和音と泉美は、かなりしょうもない子どもの頃の人形の服の話で揉めている。

 ようやく牢を出ながら、鈴は上を見て言った。

「……あれはあれで、もしや仲がいいのでしょうかね?
 そういえば、おそろいの服を着てらっしゃいましたし」

 尊が溜息をついて言う。

「仲は悪くない。
 わりといつも一緒だ。

 だから、張り合うし、揉めるし、夫を取り合う」

 えーと。
 ちょっと理解が難しい部分もあるのですが。

 もしや、お義父様は、ただ、二人の争いに巻き込まれただけなのでは……。
< 342 / 477 >

この作品をシェア

pagetop