というわけで、結婚してください!
「だからーっ、あの指輪は私のだってばっ」
「なによっ、私のよっ」

 ……話が一周して、戻ってきてしまったようだ。

 上を向いて、げんなりしている正明を見ながら、鈴は、

 今まで悪人に見えていたお義父様が、ただの可哀想な人に思えてきたな、と思っていた。

「いつか、そろって出て行きそうで怖い……」

 上を見たまま、正明は、そう呟いていた。







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