というわけで、結婚してください!
 年齢不詳の美人姉妹は、もはや、こちらには興味を失ったようで。

 上のサロンでもてなしている客に出す追加の酒について、事細かに、メイドに指示している。

 こう見えて、細部に気を配ってるんだな、と思ったとき、数志がぼそりと言ってきた。

「でも、尊様だろうが、征様だろうが。

 どちらと結婚しても、鈴様はあのお二人からは逃れられないわけですよねえ」

 ひっ、と思わず、鈴は息を呑む。

 尊が少し笑い、言ってきた。

「うちは異常に威張っている父親が、強引に姉妹をいいようにしていると思われてるが、中に入ればそういうわけでもない。

 でも、お前んちは、見た目通りだよな」

「え?」

「お前んちの頂点は、ぽすだよな。
 見た目も中身も変わらない」
と笑う尊に、

 うーむ。
 反論できない、と鈴は思っていた。
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