というわけで、結婚してください!
「行っちゃいましたね」
と二人を見送った数志は言い、小さく欠伸をしたあとで、
「それにしても、偉かったですね、征様。
まさか、こんなにあっさり引き下がるとは思いませんでしたよ」
と子どもを褒めるように征に言う。
だが、征は、
「誰があっさり諦めたと言った」
と言ってきた。
「鈴が気持ちを整理したいというから行かせただけだ」
「いやいや、それ、ただの鈴様の言い訳でしょう?」
と言う数志には返事をせずに、征は窪田を呼ぶ。
「窪田」
「はい」