というわけで、結婚してください!
日曜日の夕方。
花咲き乱れる湖の前に、祭壇と来客用のベンチが設置してあった。
野外だが、美しく式場のように整えられている。
祭壇の後ろに広がるロケーションも素晴らしく、申し分ない結婚式場だった。
それにしても、なんて豪華な模擬結婚式だ、と鈴は思う。
……招待客が。
あの日と同じ政財界から呼ばれた、両家の親の友人知人。
そして、とりわけ目を引く、そっくりな美女を従えた尊と征の父。
好き放題やってるように周りには見えてるんだろうなあ、と鈴は思う。
清白のトップとしては、その方が格好いいのかもしれないが。
本当のところ、二人の美女に振り回されているだけなんだが……といつか、二人仲良く出て行ってしまうのではと怯えている正明の言葉を思い出しながら、鈴は見ていた。
「おめでとう、鈴」
と葛葉《くずは》たちがやってくる。
今回は友人も招待してある。
もうこれが本当の自分の式だ、という覚悟があるからだ。