というわけで、結婚してください!
「武田執事長の下につく前。

 会社の方に入社したばかりのとき、なにかのイベントの折に、泉美様がいらしたことがあって。

 まだまだ新人で、いっぱいいっぱいだったから、はいはい、と事務的に応対してしまったんだが。

 あれ以来のような気がする……」
と窪田が呟くと、あー、という顔を数志はした。

「それはあれですよ。
 私の美貌に目もくれないなんてっ、と怒りを買ったんですね。

 ちなみに、この怒り、いい男相手にしか発動しないようなんですが」

 いい男も大変だな、と鈴が苦笑いしていると、数志が窪田に、

「今から、泉美様に、貴方が世界で一番お綺麗です、とか言ってこられてはどうですか?

 それで気が済むかもしれませんよ」
と言っていた。

「そうか。
 行ってこよう」
と素直に窪田は行こうとする。
< 385 / 477 >

この作品をシェア

pagetop