というわけで、結婚してください!
 ……窪田さん、スタッフのみなさん、すみません、と思う鈴に、尊が、

「鈴、店を探せ」
と言ってくる。

 はいっ、と鈴は目を皿のようにして、道沿いの店を見た。

 そして、赤信号のとき、それらしい店に張り紙が貼られているのを見つけた。

「あっ、定食……っ!

 ……『定食やめました』?」

「『はじめました』じゃなくてか……?
 そんな後ろ向きなこと、大々的にお知らせするか?」
と尊が言ったときには、もう車は走り出していた。

「いや~、やめましたに見えたんですけどね~」
と鈴は小首をかしげる。

 まあ一瞬だったので、自信はないのだが――。

 で、そんなしょうもない話をしているうちに、高速の入り口まで来てしまったので、二人は、サービスエリアでがっつり食べることにした。



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