というわけで、結婚してください!
「大丈夫か? 鈴。
 こんなに、やつれて」
と数志と共に来たらしい征が、よく考えたら、少々失礼なことを言ってくる。

 本人やつれているつもりはなかったら、どうするんだ、と思う鈴の手を取り、征は、

「可哀想に。
 尊との生活で疲れ果ててるんだろう」
と言ってきた。

 まあ、ある意味、疲れ果ててはいるんですけどね、と思う鈴の手を見つめ、征は言う。

「可哀想に。
 こんなに手も荒れて」

 荒れてません……。

「うちに戻ってくれば家事なんてしなくていいんだぞ」

 いえ、食器を洗ってるのは、食洗機様だし、洗濯しているのは洗濯機様ですけど。

 でも、確かに、主婦はなにかと忙しい。

 家事には、此処で終わりというところがないからだ。

 つまり、もういいや、と投げてしまえば、それまでなのだろうが。

 新婚なのと、新しい生活が物珍しいのとで、かなり全力で頑張っている。
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