というわけで、結婚してください!
 こんな人の多いところでっ、と鈴は慌てる。

 動物嫌いの人も居るだろうし。

 ちっちゃなぽすが足許をちょろちょろしたら危ない。

 急いで探そうとした鈴の肩を数志がつついた。

 鈴が見ているのと、反対側を指差す。

 振り返ると、少し人の少ない草原《くさはら》に、ぽすが二体立っていた。

 分裂っ!?
と思ったが、よく見たら違った。

 もう一体は、ぽすより、一回り小さい。

 女の子だろうか、と思って、近づき、しゃがんで眺めると、二体が同時に、

 どうしたの?
というように、同じ方向に小首を傾げ、真っ黒なつぶらな瞳で鈴を見上げてくる。

 かっ、可愛いっ!

「にっ、二体とも連れて帰りたい……っ!」
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