というわけで、結婚してください!
 田上は、鈴が夢で見たのとよく似た感じに偉そうだった。

 田上支社長は、ぽすの頭を撫でたあとで、横に居たメスのフェレットを抱き上げる。

「ますみ。
 彼と一緒に子どもたちと遊んでおいで」

 二体のフェレットを遠巻きに子どもたちが見ていた。

 触りたくて、うずうずしているようだった。

 支社長は、ますみと呼ばれたフェレットをぽすの横に放つ。

 二匹がたたたたっと走り出すと、子どもたちが楽しげに追いかけて行った。

 田上はその様子を目を細めて眺めている。

 鈴は小声で尊に言った。

「なんだ。
 いい方ですね、田上支社長」

「……お前、なにを根拠に言っている」
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