というわけで、結婚してください!
ついにおわった……。
尊は、ぽすの入ったケージを手に、よろめきながら、社宅の階段を上がっていた。
ぽすは、支社長のところのますみが気に入ったらしく、イベント中、子どもたちと二匹でずっと遊んでいて。
イベントが終わってからも、ますみと支社長とともに、会社に行ってしまい、鈴は物悲しげに物陰から、その様子を眺めていた。
まだ子どもを作ってもいないのに、すでに、巣立つ息子を見送る母のような感じだった。
可哀想に、鈴。
でも、俺が居るからな、と尊は思う。
ぽすを物陰から見つめる鈴を、積み上げられたカップ麺の陰から見つめる征がちょっと不気味だったが。
イベントは大成功に終わり、支社長の機嫌もよかった。