というわけで、結婚してください!
「鈴……?」
と家の中に入った尊は、所定の位置にケージを置いたが、部屋は真っ暗で、カーテンも開け放したままだった。
「鈴」
他の招待客と仲良く話したりしていたようだから、一緒にご飯でも食べに行ってしまったのだろうか、と思う。
だが、それなら連絡してきそうなもんだが、と思いながら、家の中を探してみると、玄関近くの部屋の床の上に、鈴が仰向けに倒れて寝ていた。
炎天下の島でのイベントで疲れたのだろう。
また、外の廊下の見えるこの部屋で自分の帰りを待とうと思っていたのかもしれない。
だが、疲れ果てて、カーテンも開けたまま、ひっくり返って寝てしまったようだ。
……征が仕事ですぐ帰ってくれてよかった、と尊は思う。
名残り惜しげな顔をしながらも、征は数志に引きずられながら帰っていった。