というわけで、結婚してください!
 あのまま征が居たら、絶対、この窓から鈴の寝姿を覗いていたに違いない。

 居ないとわかっていて、窓の外を見て、ぞくりとした尊は慌ててカーテンを閉める。

 あらためて、眠っている鈴の小さな白い顔を見、笑う。

「鈴……。
 お疲れ様」

 鈴が起きていたら、
『いえっ、お疲れ様なのは、尊さんですっ』
と言うんだろうな、と思いながら、側に身体を横たえた。

 鈴のいい匂いがする。

 石鹸とシャンプーのまざったようないい匂い。

 幸せだな、と尊は思った。

 こうして、二人で横になっているだけなのに、なんだか、とっても幸せだ。

 尊は、そっと鈴の手の上に自分の手を重ねてみた。

 そのまま天井を見つめる――。






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