というわけで、結婚してください!
 



 夜中にふと、鈴は目を覚ました。

 カーテンが開いたままだったので、今日も月が綺麗に見えた。

 まだ帰ってないのかなー、尊さん。

 青白い月を眺めながら、そう思ったあとで気づく。

 全身が痛くないことに。

 いつの間にやら、鈴は布団の上に寝ていたようだった。

 敷いた覚えもないのに、と思いながら横を見ると、尊が少し離れた位置に寝て、こちらを見ていた。

「尊さん……。
 おかえりなさい」

 お疲れ様でした、と言うと、うん、と頷いた尊は、その細い指で、鈴の頬にかかっている髪の毛をそっと払ってくれた。
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