というわけで、結婚してください!
「人事から、転勤後に提出すべき書類を出してないと言われて気がついたんだ。

 住民票取ってないし、お前を扶養に入れる手続きもしていない。

 だから、気づかなかったんだ。

 俺たちは、婚姻届を出してない」

「すみません。
 あの日、中断した式を尊さんと挙げ直しただけで、満足しちゃってました」
と鈴は尊に言ったが、

「俺もだ」
と言われる。

「あ、でも。
 てことは、私と尊さんはまだ結婚してないってことになりますよね?」
と言うと、

「まあ、それもいいけどな」
と尊は笑った。

「俺たちには、まともな恋人同士の期間がなかったから。

 でも……」
と尊はこちらを見る。

「関係ないかな。
 俺はお前とは、結婚しても、ずっと、恋人同士のようでありたいと思ってるから」

 いや……まあ、そうありたいですけどね、と思いながら、鈴は赤くなる。
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