というわけで、結婚してください!

 いえ、結構です、と思いながら、
「なんか申し訳ないですね。
 毛布持ってきますね」
と言うと、尊はテレビを見たまま言ってくる。

「……お前、俺に襲われたらどうする、箱入り娘」

「え?」

「短刀で胸を突くか?」

「持ってないです、短刀」

 白無垢なら、小物として懐剣を胸に挿してただろうが、着ていたのは、ウェディングドレスだ。

「じゃあ、舌でも噛み切るか」

「痛いじゃないですか」

「……お前は抵抗する気はあるのか」
と振り向かれる。

 ……ありありですよ。

 いや、ほんとに……。






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