というわけで、結婚してください!
っていうか、まさか、これも大学生のときの話じゃないだろうな。
確か名門女子大を出ているはずだから、そんなことはないと思うが……と思いながらも、数志は言った。
「で、お二人は、いつまで、逃亡してるつもりなんですか」
側に居ると、一緒にぼんやりしてしまいそうなカップルに唐突に現実を突きつけてみる。
ぴたり、と話が止まった。
「ま、正直、俺は、どっちでもいいんですけどねー。
そういえば、泉美《いずみ》様がお帰りになったんですけどね、今朝」
と言うと、尊が渋い顔をする。
「今頃戻ってきたのか」
「泉美さんって、確か、征さんのお母様ですよね?」
と鈴が尊に訊いていた。
「そういえば、式には出席されてなかったですよね。
ご病気ですか?
特に説明はありませんでしたけど」
と言う鈴の言葉を遮るように尊が訊いてくる。
「で、泉美さんがどうした?」