絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
「ありがとう。……じゃあなにか困ったことがあったら、その時はよろしくね」

すると大曽根さん……改め、真理愛はズバッと言ってきた。

「じゃあさっそく言わせてもらうけど、あまり悠長に構えていると、上杉部長を女豹に取られちゃうわよ?」

「め、女豹……?」

聞き慣れないワードを繰り返し口にすると、彼女は大きく頷いた。

「そう、女豹。……え、もしかして麻衣子、知らないの?」

首を傾げる私に真理愛は口をあんぐりさせた。

「信じられない。自分の上司……いや、婚約者の秘書を務めている相手を知らないとか。女豹として有名なのよ? 上杉部長の秘書を務めている、磯部(いそべ)結花(ゆか)」

真理愛の言う磯部さんのことなら、もちろん知っている。

上杉さんの秘書を務めているし、何度か社内で見かけたことがあるから。

二十八歳になる彼女は、とても優秀だと聞いている。

おまけに美人でテキパキと仕事をこなす姿は、同性ながらカッコいいと思っていた。

憧れにも似た感情を抱いていた彼女が女豹なんて呼ばれているとは、夢にも思わないじゃない?
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