絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
『ごめん、麻衣子。寝てた?』

「あ、いいえ。ちょうどお風呂から出たところです」

平静を装って答える。

『そっか』

「上杉さんは今なにをしていたんですか?」

会話が途切れたら、緊張しているのがバレそうで怖くなり尋ねると、疲れた声が返ってきた。

『俺は今、帰ってきたところ』

「えっ……今まで会社だったんですか?」

部屋の壁に掛けられている時計に目をやると、あと十分で日付が変わろうとしていた。

こんな遅くまで仕事だったの?

びっくりしていると、上杉さんはクスクスと笑い出した。

『なに? もしかして麻衣子、俺のこと心配してくれている?』

からかい口調で聞いてきた彼に、かぁっと顔が熱くなる。でも図星。

「……心配したらいけませんか?」

『え?』

驚いた声を上げた彼に恥ずかしくなりながら伝えた。

「だって心配して当然じゃないですか? こんな遅くまで仕事をしていたら。……お疲れ様でした」

『麻衣子……』

思ったことを口にしたものの、彼から言葉が返ってこない。なにか言ってくれないと、ますます恥ずかしいのですが。
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